ちば高齢協 平成25年2月28日 第38号
編集発行 
千葉県高齢者福祉施設協会

平成24年度 相談員研修会
日時:平成24年12月 4日(火)〜12月 5日(水) 場所:鴨川ホテル三日月

        (1日目)
    講師 社会福祉法人 幹福祉会
       法人本部 大里 宣之 氏


「災害に負けない施設になるために」というテーマで講義をして頂き、間にグループ内(6〜7人)での演習を行いました。
その中で「事業継続計画(BCP)」という職員が通常の半分しかいなくなった場合でも必ず実行しなければならない中核業務を予め選択しておくという演習を行いました。自分の中で中核業務を3つ挙げ、その挙げた業務をさらに細分化していきそこから中核業務を継続していくための条件は何かを個人で考え、最後にグループ内での発表を行いました。
次に、災害時イメージトレーニングの中の「時系列イメージトレーニング」という災害状況を時系列でイメージし、その状況下でやるべきことを考えるといった演習を行いました。「目黒巻」と言われる地震発生直前にどこで何をしていたか、起きた直後、自分と周囲はどう行動するのかを時間を追ってイメージしながら記入していくシートを用いて、今回は3.11のとき自分がどのような状況におり、どう行動したかというのを思い出しながら記入していき最後にグループ内での発表を行いました。

1日目の研修では日常生活の中で防災意識を持つことの大切さを学ぶことが出来ました。災害が起こったときにどのようなことが身の回りで起きるのか、起きたときに自分のやるべきことは何か、また災害が起きてから考えるのではなく、日常生活の中で起きたときのことを想像し、具体的な対策を話し合っていくことが大切なのだと感じました。


        (2日目)
実際に被災した施設の方達から話を聞き、今後自分達がどのように行動していくべきかを1日目と同じグループ内で話し合いました。

     講師 社会福祉法人 東風会
       特別養護老人ホーム 東風荘松里館
       生活相談員 宮内 夏子 氏


東風荘松里館は千葉県旭市にある定員16名のサテライト型の地域密着型の特別養護老人ホームです。スライドでは地震発生直後からの施設全体の動きと相談員の動き、また復旧までどのような対応を取ったのかを話して頂きました。また、施設の被災状況を知らない住民の方から「デイの迎えが来なくて困る」といった内容の苦情もあったと話がありました。スライドには、避難時の入所者の方の様子や食事の様子も写っており、今回の震災が利用者の方達にどれだけの不安とストレスを与えたかを改めて考えさせられました。


     講師 社会福祉法人 竹水会
       特別養護老人ホーム 竹水園
       総括介護主任 大井 千加子 氏


大井さんは福島県南相馬市原町区にある介護老人保健施設ヨッシーランドの介護長として働いていました。3.11の日もヨッシーランドで勤務をしており地震が起きた後、利用者の方達を連れて避難している際中に津波にのみ込まれました。それまで一緒に避難していた利用者の方達は一瞬で泥に埋もれてしまい、救助が来たときには既に亡くなっている方もいたそうです。その後、福島第一原子力発電所が爆発し、避難指示が出たため、多くの職員が現場を離れるなか、大井さんは現場に残り利用者の方達のケアを続けました。その中で必要な物資も届かなくなってしまったそうです。被災してから6日後の3.17に福島市の受け入れ施設に避難することが出来たと話されており、あまりにも壮絶な話だったため中には涙を流して聴いている方もいました。
また話の中で新たな施設で生活を始めるにあたって必要な利用者の方達のデータが津波によって全て無くなってしまったということも話されていました。利用者の方達の既往歴や内服薬、御家族の連絡先等の情報を紙で保存している施設は多いと思います。この話を聴き、そのような情報はいざというときすぐ持ち出せるように保存しなければならないと感じました。

今回の震災では利用者の方だけでなく、そのケアにあたった施設職員も不安とストレスに悩まされたと思います。施設職員としての自分と家族の一員としての自分、どちらを取ればいいのか悩み、辛い思いをされたことでしょう。辛い経験を乗り越え、今回の研修で話をして下さったお二人に心から感謝を申し上げたいと思います。

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