ちば高齢協 平成17年1月25日 第10号
編集発行 
千葉県高齢者福祉施設協会

 
■看護職給食合同研修会 平成17年11月29日(火)〜30日(水) 小湊ホテル三日月
-テーマ:高齢者の栄養を保つために-
今回、看護師との合同研修会に、3名の先生方による講演が行われました。
高齢者のQOLの向上を、目指す個別ケアを提供するため多職種協働が叫ばれているなか、今一番、話題の
お話でしたので、最後まで興味深く拝聴いたしました。

 
1日目
講義T 「摂食・嚥下障害食について」
講師  キッセイ薬品工業(株)ヘルスケア事業部 開発企画課 管理栄養士 横山美和 氏

摂食・嚥下のメカニズム、食品の物性、食形態によるリスクの説明を受けました。介護食とは、可能な限り口から美味しく食べられるように工夫したQOLを重視した食事であり、食介護のための食事ということを改めて学び直しました。経口摂取への移行に重要である嚥下障害食を、安全でおいしく食べる意欲を引き出せるポイントを、たくさん教えていただきました。又、個々に咀嚼・嚥下のテストを体験し、多職種できちんと栄養基準を決め、とろみの強弱のリスク等を、介護者自身が確認する必要性を痛感しました。

キッセイ薬品工業(株)ヘルスケア事業部 開発企画課 管理栄養士 横山美和 氏
講義U 「検査データから読み取る高齢者の栄養状態〜薬剤と栄養の相互関係〜
講師  関東学院大学人間環境学部 健康栄養学科 教授 有田匡孝 氏

生化学・臨床栄養の分野で苦手意識のある私にも丁寧にわかりやすく説明してくださり、久しぶりに学生にもどったようで新鮮でした。栄養成分と他の食品や医薬品等の相乗・相殺関係、栄養素が人間の体内でどのように利用されているのか、人体側面から見ていく人間栄養学を学びました。これからは、食物栄養ではなく人間栄養をベースに栄養ケア・マネジメントに取り組んでいかなくてはいけないと、考えさせられました。


関東学院大学人間環境学部 健康栄養学科 教授 有田匡孝 氏
2日目
講義V 「栄養ケア・マネジメントの実践」 〜実践での課題の明確化〜
講師  特別養護老人ホーム グリーンヒルの副施設長、管理栄養士 木下福子 氏

食事は生きる根源と、信念を持ち、自ら現場をラウンドし得た情報から栄養ケアは始まると言い切られ、個人対応にも早くから取り組んでおられた木下先生だからこその説得力。栄養ケア・マネジメントの導入にあたっては、NCM(多職種協働体制)のシステムの構築化や、低栄養状態の管理、取り組み等のお話を、現在進行形で話されていたので圧倒されました。やはり介護の現場でのかかわりの大切さを、痛切に感じました。常にパイオニアとして、地域支援事業にもすでに着手されているのです。信頼を得て充実したお仕事しておられる先生の柔らかな笑顔が、印象的でした。栄養ケアは、笑顔で、高齢者の方に接することから始めることだと教わりました。この制度改正を、チャンスと捉え、栄養のプロと認めてもらえるよう他の職種に、ご協力いただきながら新時代に対応した栄養士として取り組んでいきたいと思います。


特別養護老人ホーム グリーンヒルの副施設長、管理栄養士 木下福子 氏
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